LLDPE遮水シート(Linear Low-Density Polyethylene Geomembrane / 直鎖状低密度ポリエチレン遮水シート)は、エチレンとα-オレフィン(ブテン、ヘキセン、オクテン等)を共重合させた直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を主原料とし、カーボンブラックや酸化防止剤を配合して製造される高柔軟・高伸度型の遮水ライナーです。
HDPE(高密度ポリエチレン)遮水シートと同等の優れた耐薬品性・耐候性を保持しながら、結晶化度を適度に抑えることで「極めて高い柔軟性」と「抜群の地盤不同沈下追従性」、そして「耐環境応力割れ(ESCR)感受性の低さ(割れにくさ)」を実現しています。
| 項目 | 試験規格 | 単位 | 1.0 mm | 1.5 mm | 2.0 mm |
| シート厚さ(公称値) | ASTM D5199 | mm | 1.00 ± 10% | 1.50 ± 10% | 2.00 ± 10% |
| ポリマー密度 | ASTM D792 / D1505 | g/cm3 | ≧0.939 | ≧0.939 | ≧0.939 |
| 破断引張強度(縦/横) | ASTM D6693 (Type IV) | kN/m | ≧27 | ≧40 | ≧53 |
| 破断伸度(縦/横) | ASTM D6693 | % | ≧800 | ≧800 | ≧800 |
| 2% 引張モジュラス | ASTM D5323 | kN/m | ≧420 | ≧630 | ≧840 |
| 引裂強度(エレメンドルフ) | ASTM D1004 | N | ≧100 | ≧150 | ≧200 |
| 突刺し強さ(Puncture) | ASTM D4833 | N | ≧250 | ≧ 375 | ≧500 |
| カーボンブラック含有率 | ASTM D4218 / D1603 | % | 2.0 〜 3.0 | 2.0 〜 3.0 | 2.0 〜 3.0 |
| 標準ロール寸法 | — | m} | 幅 5.8〜8.0m / 長 100〜200m | 幅 5.8〜8.0m / 長 70〜140m | 幅 5.8〜8.0m / 長 50〜105m |
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卓越した柔軟性と地盤変形追従性: 曲げ剛性が低く非常にしなやかなため、複雑な地形、配管貫通部、構造物のコーナー部にも隙間なく密着します。軟弱地盤の圧密沈下や局所的な陥没(キャビティ)に対しても、シートが突っ張らずに風船のように伸びて追従し、破断を防ぎます。
耐環境応力割れ(ESCR)への高い耐性: HDPEで懸念される引張応力集中下での応力腐食割れ(ストレスクラッキング)のリスクが極めて低く、長期的な曲げ荷重や折り曲げ施工部でも脆性破壊を起こしません。
高伸度特性(破断伸度 800% 以上): 降伏点が明瞭に現れるHDPEと異なり、降伏後も均一に伸び続けるため、地震時の地盤ズレや動的変形を柔軟に吸収します。
優れた耐熱融着施工性: 融点がHDPE(約130℃)よりもやや低い(約120〜125℃)ため、熱風融着や自走式ホットウェッジ溶接機での接合マージンが広く、寒冷地や冬季施工でも安定した溶接品質を確保しやすい特徴があります。
現場背景・課題: 埋立完了後の管理型・安定型処分場では、雨水の浸入による新たな浸出液発生を防ぐため、頂部に最終覆土遮水層を施工する。しかし、埋立廃棄物は有機物の分解や圧密により長期にわたって激しい不同沈下(局所的な地盤の陥没やすり鉢状の沈下)を起こし、硬い遮水シートでは応力集中で破断する恐れがあった。
LLDPEの適用工法: 廃棄物層の整地層の上に、保護不織布 + 厚さ1.5mm LLDPE遮水シート + 排水マット + 植生覆土層を構築。
技術的効果:
不等沈下への追従: 局所的に数十cm〜1m以上の落ち込みが発生しても、破断伸度800%超のLLDPEが破断・引き抜けを起こさず、覆土全体の完全遮水状態を長期維持。
施工時の密着性: ガタつきのある廃棄物整地面の細かな凹凸に対しても、しなやかにフィットして中空の浮き上がり(ブリッジング現象)を抑止。
現場背景・課題: 臨海埋立地や泥炭・沖積粘土層に位置する農業用調整池。地震動に伴う地盤の側方流動や残留沈下が想定され、剛性の高い材料では構造クラック・継手外れの危険性があった。
LLDPEの適用工法: 池底および法面に厚さ1.0mm〜1.5mmのLLDPEシート(法面部は片面テクスチャー仕様)を布設。
技術的効果:
レベル2地震動へのじん性(粘り強さ): 地盤の局所変位に対してシート自体が伸長変形することで応力を緩和。大地震後も漏水を起こさない耐震性能を実証。
斜面覆土の安定: テクスチャー加工により、法面覆土や保護ブロックとの界面摩擦角を確保し、地震時の表層すべりを防止。
現場背景・課題: 山間部の老朽化ため池改修。既設のコンクリート斜樋(しゃひ)、底樋(そこひ)、洪水吐き(こうずいばき)の周辺は鋭角なコーナーや段差が多く、硬いHDPEシートでは折り曲げ加工が難しく、無理に曲げると応力割れの起点になる懸念があった。
LLDPEの適用工法: 池の平坦部・斜面部に敷設しつつ、複雑な構造物接続部・配管貫通部周りにはLLDPEの成形ブーツ管(役物)を現場で熱融着加工してSUSアングル金具でアンカー締結。
技術的効果:
優れた現場成形性: 職人が手作業でヒートガンや小型エクストルーダー溶接機を使って複雑な役物を巻き付ける際、折り目やシワが出にくく密閉施工が容易。
応力割れゼロの安心感: 鋭角に折り曲げた部位でも、ノッチ効果によるストレスクラッキング(ESCR割れ)が原理的に発生しないため、長期の漏水リスクを根絶。